大きくて、ぽっちゃりした猫ちゃんは見ているだけでも私たちをホッコリさせてくれて、とても可愛いですよね。
ポテポテしたお腹を触るのがこの上ない幸せ♡というお気持ちは私も同じです。
しかし、猫ちゃん自身にとってぽっちゃりであるということは、肥満症である、ということに他なりません。
ヒトでもメタボリックシンドロームという言葉が浸透してきていますが、猫ちゃんも同じように肥満によって糖尿病や関節疾患、循環器疾患や肝臓病、呼吸器疾患などになるリスクが高くなるのです。
今回は猫の肥満症について、どのように向き合っていくのが良いのかを解説いたします。

目次
1.猫の肥満についての概要
ヒトと同じく、猫ちゃんの肥満症も現代病として大きな課題となっています。
ほとんどの猫ちゃんが室内飼育のため、外敵から逃げたり狩りをしたりする必要がありません。
また、年齢が上がってくると自ずと運動量も少なくなります。
さらにバリエーションに富んだフードやオヤツなどの楽しみも多く、おねだり上手な猫ちゃんたちは知らぬ間にたくさんのカロリーを摂取してしまっているかもしれません。
体重増加に伴い、運動量も減っていき、悪循環で肥満症になってしまうという負のスパイラルに陥るのです。

2.猫の肥満の原因・要因について
避妊手術・去勢手術を終えた猫ちゃんは代謝が落ちることで太りやすくなると言われています。
一般的には適正体重の15〜20%を超える体重になることを肥満症といいます。
肥満はカロリーの摂取過多が大きな要因であり、運動だけでダイエットすることは難しいのです。
適正量のフードを与え、オヤツはなるべく与えないこと、多頭飼いの場合は他の猫ちゃんのフードをぬすみ食いしないように注意することが大切です。
オヤツを与える際はその分、フード量を減らすなど一日に必要なカロリー以上を与えないようにすることが大切です。
品種や骨格、ライフステージによって適正な体重は変わってきますので、まずはかかりつけ医で猫ちゃんの適正体重を評価してもらい、そこから1日に必要なカロリーを計算していきましょう。
3.猫の肥満の目安について
一般的には猫ちゃんの肥満度はBCS(ボディコンディショニングスコア)で評価されることが多いです。 見た目、触れた状態から体型を5段階(もしくは9段階のMCS:マッスルコンディショニングスコアという分類もあります)で評価する方法で、以下のように示されます。
BCS1(痩せ)
- あばら骨(肋骨)や腰骨(腰椎)が離れたところからでも見える
- 両手で左右の胸の辺りを触ると、脂肪が全くなく、肋骨が容易に触れる
- 上から見た腰のくびれが深く、横から見た腹部の吊り上がりが顕著。 脇腹のヒダがない
BCS2(やや痩せ)
- 両手で左右の胸の辺りを触ると脂肪がほとんどなく、肋骨が容易に触れる
- 腰のくびれが多少ある
BCS3(理想体重)
- 過剰な脂肪はなく、肋骨は適度に触れるが、外見からはわからない
- 腰のくびれはわずかにみられ、脇腹のヒダがある
BCS4(やや肥満)
- 肋骨に触れるのが難しい
- 腰のくびれはほとんどなく、腹部は丸くなっている
- 脇腹のヒダはやや垂れ下がり、歩くと揺れる様子がみられる
BCS5(肥満)
- 脂肪が厚く、肋骨は触ってもわからない
- 上から見ると腰のくびれはなく、腹部は垂れ下がっている
- 脇腹のヒダは歩くとよく揺れる
4.猫の肥満による病的な症状について
- 尿量の増加、水をよく飲むようになった
- 比較的短期間(数日〜1ヶ月)で急激に太った
- お腹が急激に大きくなった気がする
- 呼吸が早い(安静時に40回以上)
- 元気・食欲がない
上記のような症状が見られたら、病気が隠れている可能性が高いですので、すぐに受診することをおすすめします。
5.猫の肥満により引き起こされる病気の種類と治療方法について
糖尿病
肥満症の猫ちゃんは体のエネルギーを細胞に取り込むインスリンの働きが弱まることが知られています。
食事療法とともに、インスリンの注射が必要となります。

関節疾患
体重増加により関節に痛みを伴ったり、着地の際に足腰を痛めたりする可能性が高くなります。
ダイエットはもちろん、痛みがあるときは鎮痛剤を使用したり医療用の関節のサプリメントの服用をします。
循環器疾患
肥満症により、全身に血液を送る心臓に負担をかけてしまいます。
ダイエットとともに、定期的な心臓の精査、必要に応じて内服薬の投与を行います。
呼吸器疾患
肥満により空気の通り道である気道が圧迫されて、呼吸が苦しくなったり咳などが出たりします。
ダイエットで呼吸器の負担を減らしたり、症状がひどい場合は内服薬を使用します。
6.猫の肥満に対する効果的なダイエット方法について
ダイエットを始めるにあたり、特に気をつけたいことは、
- 急激にフード量を減らさない
- フード変更の際は、全量を一気にしない
- 急に激しい運動をしない
です。
急にフードを減らすことで空腹感が強く出てしまいストレスを感じてしまうかもしれません。
またフードの種類を一気に変えてしまうことで食べなくなってしまったり、お腹を壊したりする可能性もあります。
適正体重の猫ちゃんと比較して肥満症の猫ちゃんは、急な絶食状態が続くと肝リピドーシスという怖い病気になるリスクが高くなるため、より注意が必要です。
急な激しい運動は体に負担をかけますので、少しずつ活動量を増やすようにしましょう。
まずはオモチャで遊んであげる時間を1日5分程度から日課にしていただき、猫ちゃんに合わせて徐々に時間を増やしていきましょう。
また、猫ちゃんは縦の運動を好みますのでキャットタワーなどを置いてジャンプする機会を増やしてあげましょう。筋肉を適正に付けることで代謝が上がり、ダイエットはもちろん、健康維持にも役立ちます。
まず、オヤツを日課として与えている場合はオヤツ量を徐々に減らしましょう。オヤツを減らすだけでも十分ダイエットになる猫ちゃんもいます。
現在食べているフードが内容的にも、量的にも猫ちゃんに合っているかどうか、まずは獣医師と相談してみましょう。
特にフード変更をしなくても大丈夫な場合は、与える量を1割ほど減らして体重の変化を見ていきましょう。
基本的には週に1パーセントの体重減少が理想的と言われています。
フード量を減らすのが難しい場合はカロリーの低いご飯を選んだり、満腹感を得られる繊維質の多いフードも選択肢の一つです。
また、ご飯をふやかすことで満腹感を得られることもありますので、ぜひ試してみましょう。

7.まとめ
みなさんの愛猫ちゃんは肥満症ではないでしょうか?
- まずは猫ちゃんの適性体重を知っておくこと
- 元気・食欲があっても定期的に(1ヶ月に1度くらい)は体重を測定する
- 一日の摂取カロリーを把握して、適正量を与える
- いつも運動ができる環境を整える
以上のことを気をつけていただくことで猫の肥満症は未然に防げると思います。
猫ちゃんと協力して肥満症にならないようにしていくことが、健康で長生きする秘訣になるでしょう。
監修:にじいろアニマルクリニック 獣医師 門脇 由佳
参考文献:環境省 動物の愛護と適切な管理