犬の健康診断を受けて、健康寿命を延ばしましょう

更新日:2024/10/14

犬の健康診断を受けて、健康寿命を延ばしましょう

ワンちゃんを迎えいれた皆様おめでとうございます!

可愛らしい家族との生活は喜びに満ち溢れているでしょう。

しかし、ワンちゃんの健康管理も忘れないでくださいね。健康診断は元気に長生きするために大切な事です。このコラムでは、健康診断についてわかりやすくご説明します。

健康診断の活かし方もご説明していますので、是非ご覧ください。


健康診断を受けて元気に走り回るイメージ

1.犬の健康診断の大切さ

健康診断が大切な理由

特に何の症状もなかった人が健康診断によって早期に病気が見つかった、という話を聞いたことはありませんか?
人同様、わんちゃん達も定期的に健康診断を受けることで、何らかの異常が見つかった時には早めに対策をすることができるのです。
個体差はありますが、犬は人間の約4〜7倍のスピードで歳を重ねると言われており、その事からも、年に一度の健康診断でも決して多くないことがわかると思います。

健康診断は何歳からはじめるべき?

年に一回、お誕生日やお家に迎えた日の月、ワクチンのタイミング、フィラリア予防の時期、などと時期を決めて健康診断を受けることをお勧めします。
子犬ちゃんの場合、最初の1年は病院に行く機会も多いのですが、それ以降は特に症状がなければ予防接種など以外で病院に行くことはないでしょう。
元気だから…若いから…と先延ばしにされている飼い主さんも「健康時の状態」をデータベースとして知っておくことはとても重要です。
何か変化が見られた時や、異常が見つかった際に、過去のデータと比較することで私たち獣医師の治療の助けになりますので、健康な時こそ健康診断をしておくことをお勧めします。
また、シニア期(大型犬で約5歳以降、小型犬で約7歳以降)は病気のリスクと進行度合いが高いと言われていますので、主治医と相談をして半年ごとに短くする、などその子にあったプランで健康診断をしましょう。

犬の健康診断を有効に活用して頂くポイント

健康診断によって特に問題がなければ、現在の生活習慣を継続して問題ないという確証になりますし、何か異常が見つかった時は治療が開始されることもあります。

また、治療の必要がなくても食生活や運動など生活習慣上の見直しや、サプリメントをうまく使う、などのアドバイスを受けられるメリットもあります。

年齢の変化にあわせた生活変更

シニア期になると足腰や内臓機能の低下が徐々に見られます。

血液検査では問題がなくても、レントゲンや超音波検査、尿検査などで早めに異常をキャッチすることで対策ができます。


老犬のイメージ

2.犬の健康診断でチェックする項目

視診・触診

体を触ることで肥満度、削痩度(痩せているか)の確認をしたり、皮膚や被毛のチェックで、脱水や皮膚炎、身体にシコリがないかなどを見ます。
膝蓋骨脱臼や腰痛など、整形外科的なトラブルも触診によって推察できます。
また、腹腔内のシコリや肥大した臓器が触知できることもあります。

聴診

聴診器で心臓や肺の音を聞くことで、心臓や肺の雑音や不整脈がないかを確認します。
異常がある場合はレントゲンや超音波検査、心電図検査を追加でさせていただくこともあります。

血液検査

血液の成分から、貧血や感染、肝蔵・腎臓機能や代謝異常、血糖値などの状態を知ることができます。
また症状に合わせて、内分泌ホルモン値の測定をすることもあります。

尿検査

尿の濃さや、尿中に血液、細菌、結晶や糖が出ていないかをチェックします。
糖尿病、尿路感染、尿路結石、腎臓病などのサインを見つけます。

レントゲン検査

胸部レントゲン検査では心臓の大きさや気管、気管支、肺の状態を確認し、心臓病の兆候、気管の異常、肺炎や腫瘤(しこり)がないかを確認します。
腹部レントゲン検査では腹腔内臓器の大きさや形、腫瘤(しこり)や結石の有無がわかります。

超音波検査

超音波エコーで体の内側を調べる検査です。
腹腔内の臓器を見る腹部エコーでは、内臓の大きさや動き、腫瘤や結石がないかなどの異常を確認していきます。
心臓の動きや内部構造、血液の流れを見る心臓エコーでは、心臓機能や形の異常がないかを評価します。


犬の採血イメージ

3.オプション検査項目

血圧測定

動物用の血圧計で測定し、血圧が正常範囲内かどうかを確認します。

心電図検査

心臓の電気的な動きを記録することで、不整脈の有無を確認していきます。

アレルギー検査

食物アレルギーや環境アレルギーの原因物質(アレルゲンと言います)を血液成分を調べて特定する検査になります。
皮膚の痒み、外耳炎や下痢症状などが治りづらい、再発が多いなどでアレルギーの関与が疑われる時に、必要があれば追加でお調べします。

(*)動物のアレルギー検査は検査精度に難点があり検査結果の解釈に注意を要するのと、費用が高額(通常5〜7万かかります)ということもあり、通常いきなりアレルギー検査からすることはありません。本当に検査の必要性があるかどうかを見極めてご提案し検査を行います。

眼科検査

結膜・角膜の状態、白内障の有無、涙の量や眼圧測定で目に異常がないかを確認します。

4.犬の健康診断の料金

総合健診基本コース(ドッグドック):19,000円+消費税

以下の項目が含まれます。

  • 血液検査(血球検査+生化学検査)
  • レントゲン検査(胸部+腹部)
  • エコー検査(胸部+腹部)
  • 尿検査

オプション項目:(すべて税別表記)

  • 血圧測定:1,000円
  • 心電図検査:3,500円
  • 甲状腺ホルモン検査(犬はfT4,TSH、猫はT4,fT4):7,000円
  • 電解質(Na-K-Cl):1,500円
  • 眼科検査(シルマー検査、フローレス試験、眼圧測定):6,000円
  • 副腎ホルモン検査:12,500円
  • SDMA(腎臓病マーカー):2,500円
  • アレルギー検査:50,000〜70,000円

5.犬の健康診断の流れ

正確な検査結果のためにも、検査前は12時間の絶食をお願いします。
そのため、夕飯は遅くなりすぎないようにし、置き餌になっている場合は時間になったら下げるようにお願いします。

健診当日

当日は決められた時間にお連れいただき、何か気になることがありましたらスタッフに遠慮なくおっしゃってください。

血液検査のみであれば外来の診療時間内で行うことが可能です。

画像検査(レントゲン検査、エコー検査など)を行う場合は基本的に午前中にお預かりし、夕方頃のお迎えをお願いしています。

お預かり検査になる際は、検査後お迎えまでの間に普段食べているフードを与えることも可能ですので、よろしければ一食分をお持ちください。

健診後からご説明まで

血液検査結果は項目により当日報告できる場合もありますし、外部検査センターに依頼する場合もありその際は後日ご報告となります。

後日報告の場合は郵送やお電話での報告対応も可能ですのでご相談ください。

画像検査(レントゲン検査、エコー検査など)を行った場合はお迎えの際に主治医から結果の説明をさせていただきますので、お時間に余裕を持っていただき、ご心配であればメモなどのご用意をお勧めします。

犬の健康診断後にみられる状態

健診後によく見られる状態としては、慣れない場所での検査でストレスを感じ、食欲不振や下痢症状などの消化器症状を起こすことが時々あります。

比較的稀ですが皮膚が敏感なわんちゃんは、検査時に使用するアルコールで肌が赤くなったり痒みを起こす場合もあります。

何か検査後に変化がありましたら、主治医にご相談ください。

(*)緊急時の対応:万が一、呼吸が荒くなったり、ぐったりして呼びかけに反応しないなどが見られたらすぐに獣医師の診察を受けてください。

6.良く頂くご質問

質問1 健康診断の結果はどのくらいでわかりますか?

血液検査を外部検査センターに依頼する場合は2週間ほど結果にお時間をいただきます。

それ以外の検査は当日結果が出ますのでお迎えの際にお伝えすることができます。

質問2 健康診断にペット保険は使えますか?

基本的にペット保険は適用外となります。

ただ、何か症状がある、持病があって検診を受ける際は保険が適用となる場合もあります。

各保険会社によっても適応範囲が異なるため、詳細はご加入中の保険会社にお問い合わせください。

まとめ

健康診断について少しでも理解が深まっていただけたら嬉しいです。
にじいろアニマルクリニックでは、ご予約をいただければ、いつでも健康診断を受けることが可能です。
是非お気軽にお問合せください。

監修:にじいろアニマルクリニック 獣医師 門脇先生

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